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自然栽培の田力の米
農薬を使わないお米、肥料を使わないお米を宮城県から全国に発送します。

 自然栽培米のお届け

【2012年産の新米 出荷開始】

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 いにしえの品種、その野性味が自然栽培でよみがえります。
宮城県色麻町から

【2012年産の新米 出荷開始】

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 自然栽培のササニシキを天日干しにしてみました!おてんとの味わいをお楽しみください。
宮城県色麻町から

【2012年産の新米 出荷開始】

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 でんでんむしむしカタツムリ、自然栽培の六次産業を目指します!
宮城県石巻市和渕から

自然素材の農業資材
工場は津波で流された。だけど竹チッパーは10トン車の下から発掘できました!

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田力ノート

無農薬、無肥料稲作栽培の記録から
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イボクサ(疣草/いぼくさ)
イボクサ(ツユクサ科)
 全国に分布し湿地などで生育する。水田では畔から茎を匍匐させ侵入し、繁茂する。一年生の草である。

【生育の特徴】
イボクサの芽生えはイネ科の植物と良く似ているが、成長するにつれ蔓のように茎が這い、節から根を出して面的に繁茂する。9月に入ると赤く変色し、薄紫の花を咲かせる。


(イボクサ)

【農薬を使わない稲作との関係】
 イボクサは面的に繁茂するが、これにより稲の生育に支障が生じたとの事例はあまり聞かない。おそらく他の雑草に比べ土壌養分の収奪力が強くないのであろう。


(稲の条間で繁茂し始めたイボクサ)

 農薬を使わない稲作で注意すべきは、稲の収穫時に支障を与えることにある。イボクサの茎は蔓のように地を這い伸長するが、稲の出穂後に水田を落水すると、今度は稲の穂に向かい稲にからみつき繁茂する。これが著しければ、稲刈り時にコンバインの刃先にイボクサがからみつき、作業の効率を悪化させる。 


(稲刈直前の水田、イボクサの繁茂が著しく、稲が倒伏している。)
 イボクサは湿性を好む草であるが、種子の発芽には酸素が必要である。また一年生の草であるため田面土壌の貧酸素化を促進させるコメヌカ除草や冬期湛水水田で形成されるトロトロ層などもイボクサの抑草に有効であると推測される。
 しかしながら水田に生えるイボクサの大部分は、畔ぎわから発芽して繁茂するため、まずは畦畔の除草をしっかり行うことが大切である。そして畦ぎわから田面に侵入するイボクサを見つけたら、早い時期にホウなどで鋤取ることも、イボクサ防除に効果的と思われる。

【その他】

 イボクサの名前は「疣取り草」を語源とし、その汁を付けると疣(イボ)が取れると言われるが、実際に効果があるかは不明である。


▼関連リンク
 ・コメヌカ/クズダイズ
 ・トロトロ層

【記:平成19年9月28日】


 田んぼに関わる専門用語と、田力つながりで用いている用語を解説します。
 下記の説明文中「黒」で記す部分は一般的な認められた事項を、「青」で記す部分は、田力つながり仲間で解釈している事項を記載しております。


| 水田雑草 | 09:33 | comments(0) | - | pookmark |
イヌホタイル
イヌホタルイ(カヤツリグサ科)
 全国に分布する。多年生雑草であるが、種子で発芽するものと越冬株で発芽するものがある。

【生育の特徴】
 クログワイと同じカツリグサ科であるイヌホタルイは、発芽にあまり酸素を必要としないなどクログワイと良く似た生態を見せる。
 ホタルイは田植え後に発芽し7月に入ると穂が見え始める。そして8月中旬も過ぎると、茶色に変色し、枯れ始めることがある。この姿は9月を過ぎても青々とした姿を見せるクログワイと対象的である。
 ホタルイの穂にはカメムシがつきやすく、土壌養分の収奪よりも、カメムシによる斑米の原因になる雑草として問題になることがある。
 


(8月中旬、稲の条間に繁茂したホタルイが枯れ始め、茶色に変色)



(8月上旬、ホタルイの穂)



(8月上旬のホタルイ姿)


【農薬を使わない稲作との関係】
 ホタルイとクログワイは同じカヤツリグサ科の多年生雑草であり、また発芽にはあまり酸素を要求しないなど共通的が多い。そして見た目も良く似ているが田面での繁茂傾向は異なる。
 クログワイは土壌中に潜伏した塊茎から密植して発芽してくるが、ホタルイは越冬株か種子のいずれかでが発芽し、その密度もクログワイに比較すれば粗である。そのため、クログワイほど稲の生長に支障は与えないようである。
 またクログワイは塊茎の潜伏した場所から密植して発芽し、毎年、少しずつ繁茂域を拡大するが、ホタルイは田面のあちこちから同時多発的に発芽してくる。
 越冬株から発芽するホタルイは大柄であり、種子発芽のものは小ぶりである。いずれも中耕除草により効果的に除草できるようで、クログワイのようなしぶとさはない。

【江戸期の記録から】
 現在ではメジャーな水田雑草であるホタルイであるが、江戸期の記録からは、いまのところホタルイの記述を見つけることはできない。
 ただし、「菅」というカヤツリグサ科と思われる記述がしばしば見受けられる。これがホタルイを指しているかどうかは不明である。
【記:平成20年9月23日】

【弥生時代の遺跡から】
 弥生時代の遺跡である板付遺跡や菜畑遺跡からは、現在でも普通に見られるホタルイコナギオモダカといった水田雑草が見つかっている。(参考文献)
【記:平成21年1月3日】

▼関連リンク
 ・クログワイ

▼ 参考文献
 
「弥生時代の知識 」 甲元 真之、山崎 純男  著 
 (昭和59年4月1日 東京美術 発刊) 


 田んぼに関わる専門用語と、田力つながりで用いている用語を解説します。
 下記の説明文中「黒」で記す部分は一般的な認められた事項を、「青」で記す部分は、田力つながり仲間で解釈している事項を記載しております。


| 水田雑草 | 02:30 | comments(0) | - | pookmark |
オモダカ(沢瀉、面高、おもだか)
オモダカ(オモダカ科)
 日本全国に見られる水田雑草で、山間地の水田や平野部の湿田に多く見られる。


【7月下旬、農薬を使わない水田で生育したオモダカ】

【生育の特徴】
 オモダカはクログワイなどと同じく、主として塊茎で発芽する雑草であるが、種子も結実し、水に浮いて田面に伝播する。


【8月下旬、開花したオモダカ】


【9月上旬、オモダカの結実】

【農薬を使わない稲作との関係】
 オモダカはコナギやクログワイなどと同じく、発芽にはあまり酸素を必要としない。このため貧酸素土壌となりやすい有機水田は、オモダカが繁茂しやすい環境となる。
 オモダカはコナギやクログワイと違って面的に田面を覆うことが少ない。ただし土壌からの窒素吸収量は多く、稲作に与える支障は見かけ以上に大きいようである。
 オモダカでも種子発芽のものは、中耕除草を丁寧に行うことで、効果的に防除ができるようである。
 一方、既に土壌に根を張った塊茎発芽のオモダカは、稲刈り後に田面を反転耕起して、塊茎を寒気にさらして凍死させるのが効果的であるようだ。


【7月下旬、水田で繁茂したオモダカ】

【その他】
 オモダカの塊茎を試行的に食用に供した事例があり、天ぷらにすると美味とのことである。

【江戸期の記録から】
◆以下、農文協発刊「日本農書全集5 農事遺書」
 (宝永六年 鹿野小四郎 著)より引用

「五 草の絶やし方、各種雑草について」
 
水草のうち、あさざ、おもだか、たいぬびえ、たで類は、あまり苦にならない草である。抜き取って浅く埋めて、早く腐らせればよい。
【記:平成20年9月23日】

【弥生時代の遺跡から】
 弥生時代の遺跡である板付遺跡や菜畑遺跡からは、現在でも普通に見られるホタルイコナギオモダカといった水田雑草が見つかっている。(参考文献)
【記:平成21年1月3日】

▼関連リンク
 ・コナギ
 ・クログワイ

▼ 参考文献
 
「弥生時代の知識 」 甲元 真之、山崎 純男  著 
 (昭和59年4月1日 東京美術 発刊) 


 田んぼに関わる専門用語と、田力つながりで用いている用語を解説します。
 下記の説明文中「黒」で記す部分は一般的な認められた事項を、「青」で記す部分は、田力つながり仲間で解釈している事項を記載しております。


| 水田雑草 | 00:24 | comments(0) | - | pookmark |
クログワイ(黒慈姑、鳥芋、くろぐわい、えぐ)
クログワイ(カヤツリグサ科ハリイ属)
 関東、北陸以西の本州から九州に分布し、海外では朝鮮南部に分布がある。休耕田で良く見られる。除草剤が効かなくなった抵抗性クログワイも確認されている。主として塊茎で発芽し、その寿命は5年に及ぶとされる。

【稲刈り直前の稲から葉を突き出すクログワイ】

【生育の特徴】
 クログワイは塊茎を分けつさせ発芽する多年生雑草で、水田のような湛水下で旺盛に繁茂する。宮城県では5月末頃から10cm間隔程度で面的に発芽し、8月末頃から出穂するものがある。クログワイの花弁は各種雑草の中では最も地味で、ほとんど目立たない。


【クログワイの穂】

 クログワイは同じカヤツリグサ科で多年生のホタルイと姿が似ており見間違えられることが多いが、クログワイの茎の内部には節があり、ホタルイには無い。このため茎をつぶして、節のあるなしを確認すればクログワイとホタルイを容易に判別できる。


【クログワイの茎の断面】



【農薬を使わない稲作との関係】
 コナギと同様に発芽に酸素を要求せず、また塊茎から発芽するため、コメヌカ除草など農薬を使わない各種抑草方法は無効である。このため有機稲作栽培ではコナギに次いでたちの悪い雑草となる。

 特に不耕起栽培では最も難敵な雑草で、耕起せず農薬を使わずに田面下20cmに潜伏する塊茎の発芽を押さえるのは困難を極める。不耕起水田において、多年生雑草のクログワイは、毎年、確実に繁茂面積を拡大していき5〜6年もすれば水田全面を覆うほどになる。こうなると水稲の大幅な減収は不可避であり、さらに密生したクログワイは稲の倒伏を生じさせることもある。


【クログワイと共に倒伏した稲】


 不耕起を行わない場合においては、稲刈り後の秋耕を行い、クログワイの塊茎を地上に冬の寒気にさらして凍死させる方法も提唱されている。これを行う場合は田面下20cmまで耕起する深耕プラウが必要となるが、あまり深堀すると、今度は田面のササリ(トラクターなど農作業機械のタイヤが田面に埋没し走向に支障が生じる。)が生じるので注意が必要である。
 また仮に深耕しても、地下水位の高い水田では十分にクログワイの塊茎が凍死せず、次年作も前年同様にクログワイが繁茂した事例もある。


【田面に広がったクログワイ(緑の濃い部分)】

 クログワイはコナギやヒエとは異なり、塊茎発芽の雑草であるから、一気に水田全面に広がることはない。しかしながら、一度根付いたクログワイの駆除は困難であり、農薬を使わない稲作を行う場合は最も注意が必要な雑草となる。

【農薬を使わないクログワイ駆除の事例】
 農薬を使わず、水田全面に根付いたクログワイを駆除するのは困難であるが、不耕起をやめ、秋耕・春耕を丁寧に行い、そして田植え後の機械除草を綿密に行うことで、数年かけクログワイを漸減した事例もある。
 田植え後に手取りや機械でクログワイを除草する場合は、6月後半頃から行うのが良いとされる。これは成長初期のクログワイが、まだ塊茎に養分を蓄積しており、早期に除草すると、かえってクログワイの分けつ発芽を促進させてしまう可能性があるためである。
 このように、農薬を使わずクログワイを駆除した事例はあるが、大きな負担が伴う。このため、農薬を使わず稲作を行う場合は水田を十分に観察し、クログワイが確認されたら、繁茂域が小さいうちに重点的にクログワイの除草を行うことが大切である。


【冬期湛水稲作とクログワイ】
 無農薬を主体とし、不耕起や半不耕起と併せて行うとが多い冬期湛水稲作ではなおのことクログワイへの注意が必要である。冬期湛水により形成されるトロトロ層もクログワイには無効で、むしろコナギなどクログワイ以外の雑草を抑草するトロトロ層はクログワイの繁茂に好都合とさえ言える。

 また冬期間、地域によっては冬期湛水水田に白鳥が集まりクログワイの芋を捕食することがある。このため、白鳥によるクログワイ駆除効果が期待されたが、いくつかの事例を観察する限り、ほとんど効果は見られない。
 
【ほ場整備とクログワイ】
 クログワイは塊茎からの発芽を主体とするため、種子雑草のように灌漑水を通じて拡散することは希であるが、ほ場整備などにより水田表土の移動が行われれば、他の水田に拡散してしまう可能性があると指摘する専門家もいる。


【クログワイの塊茎】

【江戸期の記録から】
◆以下、農文協発刊「日本農書全集5 農事遺書」
 (宝永六年 鹿野小四郎 著)より引用

「三 中耕の仕方について」
 
中耕するときはよく草を打ち返し、ひるむしろやくろぐわいなどは少しでも見逃さずに取り捨てるとよい。両者とも比類ない悪草である


◆以下、農文協発刊「日本農書全集6 私家農業談/巻之一 15.除草」
 (寛政元年 宮永正運 著)より引用

 どの雑草もよいものはありえないが、とりわけ、ひろむしろ、くろぐわい、みずかやつりの三種はいたって稲に悪く、稲が実らないばかりか地味もしだいに痩せ、後あとまでも苦労の原因になる。見つけしだいすぐに取り去ることが必要である。これらの草の生える田は、稲刈り後なるべく早く、冬の間に耕起し、深く打ち返しておけば、寒中に土が凍り根も腐って絶えてしまう。【記:平成20年9月11日】

◆以下、農文協発刊「日本農書全集12 農業全書/巻之五 山野菜之類 八.くろぐわい」
 (元禄十年 宮崎安貞 著)より引用

 くろぐわいは懷繊覆曚弔擦ぁ法地栗(ぢりつ)ともいう。「農業全書」には「正月に種子(球茎)を堀り取り、萌芽したとき、土がめなどに土と混ぜて入れておき、二、三月になって水田に移植し、それから芽が成長繁茂した後に分球して植え付ける」と書いてある。冬から春のころ堀り取って菓子とるす。生でも煮ても食べられる。中国では多く栽培して凶作の年には食料とするらしい。わが国では摂津、河内のあたりで多く栽培されているものである。【記:平成20年9月15日】

◆以下、農文協発刊「日本農書全集18 民間備荒録・巻之上」
(宝歴五年 建部清庵 著)より引用

「くろぐわい」
 味は甘く(中略)煮て食べるのがよい。
【記:平成24年11月11日】

◆以下、農文協発刊「日本農書全集17 百姓伝記/巻十三 水草集」
 (年代未詳 著者未詳)より引用

 くわいには白くわいと黒くわいの二種類がある。しかしどの地方でも白くわいばかりを作り、黒くわいは作らない。白くわいの葉はおもだかに似ている。黒くわいの葉は畳を織るいぐさのようである。白くわいは生で食べると少しえぐ味があるが、黒くわいは甘味だけである。ゆでて菓子にし、煎って食べてもよい。【記:平成20年9月20日】

 宮崎安貞の「農業全書」では具体的にクログワイの絵が描かれ、これがまさに現在で言う「クログワイ」と同一のものであることがわかる。これ以外にも日本農業全集の各巻を読めば、クログワイを食用に供するとの記述にしばしば出会う。
 現在では最も手強い雑草となったクログワイだが、かつては食料に共され、そして栽培までされていたとのことであるから、クログワイが持っていた意外な一面に驚かされる。

【記:平成20年9月15日】

◆以下、講談社発行「稲作の起源」イネ学から考古学への挑戦
 (2005年12月19日 池橋宏 著)より引用

 (2003年春、中華人民共和国雲南省タイ人自治区のモウ海にある)市場では、クズイモ、ドクダミの根、ネギ類の根、その他のネギ類、ダイコン、コンニャク、クログワイ、ショウガ、サトイモなどが売られていた。[P87 根栽農耕への旅 より]
 メコンデルタの湿地では野生のクログワイが広く見られる。[P97 根栽農耕への旅 より]
【記:平成20年11月22日】

 上記著書で池橋宏は「移植栽培」という、直播き栽培を主体とする畑作には見られない稲作の特徴に着目し、そして株分け栽培を行う根栽農耕との類似性に着目して、稲作の起源を根菜農耕に求めた。もともとはサトイモやクワイなど、株分け栽培をしていた「水田」に稲が伝播し、今度は稲の株分け栽培(移植栽培)が適用されたとの考えである。
 現在でも、クログワイやクワイなどは水田に多く見られるが、これは、かつての根菜農耕の名残として、そのまま水田に根付いた遺在作物と考える。
【記:平成20年11月22日】

◆以下、八坂書店発刊「野菜の日本史」
 (2000年7月30日 青葉高 著)参考
 
 万葉集には「えぐ」という野菜が歌に詠まれ、クログワイとするのが定説である。以下、万葉集に詠まれた「えぐ」を紹介する。
 
[万葉集 巻十 1839]
君がため、山田の沢にえぐ採むと、雪消の水に、裳の裾ぬれぬ
 
(田鴨解)
 あの人を思い、山の田んぼに行く。沢に入り、冷たい泥に手を入れ、クログワイの球茎を堀る。雪解け水に、着物の裾が濡れながら。

(補記)
 「裳」とは一人前になり、結婚が許された女性が着る着物とのことであるから、この歌を詠んだのは嫁入りを控えた女性だとわかる。
 既に紹介したように、クログワイには甘味があり、かつて菓子として供されていたようであるが、これに加えて消化、解熱の薬用にも用いられたと言われる。
 そう考えれば、この歌は、病に伏した婚約者の回復を願い、冷たい沢に入り、賢明に薬用のクログワイを掘る、といった女性の健気な気持ちを詠んだ歌なのかも知れない。
 
[万葉集 巻十一 2760]
あしびきの、山沢えぐを採みに行かむ、日だにも逢はむ、母は責むとも
 
(田鴨解)
 あしびき(山にかかる枕詞)の、山の沢にクログワイを採りに行く。その日はあの人に会う。例え母に責められようとも。
 
(補記)
 母が責めるのは、クログワイを採りに行くことなのか、それとも「あの人」に会うことなのか、たぶん、後者であろう。このあたり、万葉の時代も現在も、さして違いはない。わからないのは、なぜクログワイを採りに行く日に「あの人に会う」のかである。
 あの人に会って、クログワイをプレゼントするためなのか?とするならば、この時代、クログワイは現在のプリンとかケーキとか、そういったスウィーツに相当する甘味であったことになる。
 現在、稲作農家に忌み嫌われるクログワイであるが、万葉の時代、クログワイには秘めたるロマンがあったのかもしれない。
【記:平成20年12月12日】

◆水田の起源とクログワイ
 稲作は湿地や水辺などで行われたクログワイなど根菜農耕の延長として始まり(参:稲作の起源)、また水田についても、そもそもは稲ではなくサトイモやクログワイなど根菜を植え付ける圃場として始まったとする考えがある(参:水田の起源)。
 とするならば、そもそも水田は主役は稲ではなくクログワイなど根菜類だったことになるわけで、有機稲作など人為の力に頼らない稲作を追求すればするほど、つまり過去の稲作の形態に近づけば近づくほど、かつての水田の主役「クログワイ」が勢いを逞しくするのは物の道理なのかもしれない。
【記:平成20年12月28日】  


▼関連リンク
 ・冬期湛水
 ・コメヌカ/クズダイズ
 ・不耕起
 ・ほ場整備


 田んぼに関わる専門用語と、田力つながりで用いている用語を解説します。
 下記の説明文中「黒」で記す部分は一般的な認められた事項を、「青」で記す部分は、田力つながり仲間で解釈している事項を記載しております。


| 水田雑草 | 00:26 | comments(0) | - | pookmark |
マツバイ(松葉藺、まつばい)
マツバイ(カヤツリグサ科ハリイ属)
 北海道から琉球列島まで日本全国に分布し、朝鮮、中国、シベリア東部に分布する。

【生育の特徴】
 ホタルイやクログワイと同じカヤツリ草科の草だが、まるで別種のように背丈は短く、5cmにも満たない濃い緑の茎が芝生のように密生する。背丈が小さいためか浅い水深の水田を好み、深水では減少する。
 マツバイは多年生雑草で、ホタルイと同様に越冬株から分株し、すさまじい速度で水田を面的に覆っていく。マツバイが水田を覆った様はまるで緑の絨毯を水に沈めたようだと言われ、こうなると養分の収奪が著しい。また湿田よりも乾田を好むとされる。

【農薬を使わない稲作との関係】
 昭和中期頃まで猛威を振るっていたと伝えられるマツバイだが、除草剤が普及した後は、ほとんど目にすることは無くなったようである。農薬を使わない田力つながり田んぼにあっても、マツバイが見られる水田は希である。マツバイの発芽深度は3cm程度とされ、そのため秋耕により、越冬株を埋め込むのが効果的と言われる。生育の特徴から深水も効果的なようである。 



【水田から抜き取ったマツバイ】

【江戸期の記録から】
◆以下、農文協発刊「日本農書全集7 農業余話 上 草害」
  (文政十一年 小西篤好 著)より引用

 水田にうしのけぐさ(マツバイ)といって、牛の毛のような雑草が生ずるが、これは土地のやせた新しく開墾した水田か、あるいは冷水の入る水口か、またはときどき水がなくなって田面が乾くような場所に生ずる。(中略)これには麦がらか麦の芒などを肥料に用いれば、たちまちに絶えてしまう。

【記:平成20年9月12日】


 田んぼに関わる専門用語と、田力つながりで用いている用語を解説します。
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| 水田雑草 | 22:36 | comments(0) | - | pookmark |
ヒエ/イヌビエ/タイネビエ(稗、ひえ)
 
ヒエ(イネ科ヒエ属)
 田植え直後頃から水田に発芽し、稲に紛れながら成長して出穂する一年草、最も一般的な水田雑草である。寒冷地の作物でもあり「冷え」から「ヒエ」になったとの説もある。
 ヒエにはいくつか種類があるが、水田雑草として一般的なものにイヌビエとタイヌビエがある。これらヒエの区分は外観からの判別し難しいが、イヌビエは小穂が大きい。




【生育の特徴】
 1株あたりの7000粒程度の種子をつけ、代掻き直後あたりから一斉に発芽する。また稲より生長が早いため、7月を過ぎた頃から稲よりも丈が大きくなり目立ち始める。
 ヒエは稲作に適応して進化したとも言われ、出穂するまで稲との判別が付きにくい。ただし規則正しく条間を取って植えられた稲とは異なり、ヒエは不規則に発芽して成長する。このため、水田を眺め、稲葉が不揃でガサガサと重なり合っている場所があれば、出穂しなくても、ヒエが繁茂している場所がわかる。


【田植え後、発芽してきたヒエ】


【稲に紛れてヒエが繁茂している部分】


【農薬を使わない稲作との関係】
 一般に有機水稲稲作では土壌の貧酸素化を促進するため、ヒエ抑草には好都合な環境である。これが有機稲作を好むコナギとの大きな違いとなる。

【農薬を使わないヒエの抑草】
 ヒエは湿性を好み、基盤整備などで乾田化した土壌では少なくなるが、逆に田面の湛水深を大きくしてもヒエは少なくなると言われる。これはコナギと異なり、ヒエの発芽には酸素が必要であるためである。これらヒエの特性から、農薬を使わないヒエの抑草方法が考えられる。
 最も基本となるのは、コナギ抑草と同じく、田植え直後からの深水管理である。これは発芽種子に浮力を与え活着を阻害する効果を期待して行うが、ヒエの場合は深水管理による土壌の貧酸素化により発芽を抑制する効果も期待できる。
 コメヌカやクズダイズ施肥による除草もヒエには有効と考えられ、有機酸による発芽種子の活着阻害以外にも、土壌の貧酸素化によるヒエの発芽抑制の効果が期待できる。長期間湛水する冬期湛水水田では、さらに土壌の貧酸素化が促進されるため、ヒエの抑草に効果が発揮されるであろう。


【ヒエが旺盛に繁茂した有機水田、これでも7俵の収穫が得られた】

【その他】
 縄文中期の環状集落跡である三内丸山遺跡(青森県青森市郊外)では多量のイネビエの種子が発掘されており、食用に供されていたとの説がある。この説の当否はともかく、イヌビエは稲よりも早く、日本に根付いていたことがわかる。

【イヌビエ?著者も良く判別できてない。】


【たぶんタイヌビエだと思う。】

【記:平成20年8月31日】

【江戸期の記録から】
◆以下、農文協発刊「日本農書全集4 耕稼春秋/巻二 稲之類「表田での耕作から収穫まで」」
 (宝永四年 土屋又三郎 著)より引用

 六月の上旬から中旬にかけて二番草を取る。(取り方は一番草と同じ。ただしこのころになると田びえが稲株の中に混じって生えてくるので、稲の一株ごとに入念に田びえを抜き取っていく。田びえは稲とよく似ているので、百姓でなければ区別がつきにくい。(中略)
 さて、話を三番除草に戻すと、田の草を取るときは、稲の一株一株について株もとの土を手でよくほぐしてやわらげ、入念に除草する。また、稲の中に田びえが混じっているから、ことさら注意して取ること。これは秋が近づいて穂が出るようになると稲と見分けがつくので、稲刈り前の八月にひまを見つけて田に入り抜き取るとよい。


◆同、耕稼春秋/巻五 稲勘弁、中打、刈収、麦勘弁、雑事「中耕除草について」」
 より引用

 田びえという、稲の苗によく似た雑草がある。この草は稲の苗に先立って茂り、しばらくそのままにしておくと、勢いよくはびこって土の肥料分を奪い取るので、稲の生育をひどく害するものである。油断せずに取り除かねばならない。

◆以下、農文協発刊「日本農書全集6 私家農業談/巻之一 15.除草」
 (寛政元年 宮永正運 著)より引用

 一番草を取り終えたら、間をおかずにすぐ早稲田、中稲田から二番草にとりかかる。(中略)この時期から「田稗」という小さな草が稲に混じって生えてくる。これは稲にとって大敵なので、とくに注意深く抜き去る。ただし「田稗」は稲によく似ているので素人には見分けがつかない。
【記:平成20年9月11日】

▼関連リンク
 ・冬期湛水
 ・コメヌカ/クズダイズ


【記:平成20年8月31日】


 田んぼに関わる専門用語と、田力つながりで用いている用語を解説します。
 下記の説明文中「黒」で記す部分は一般的な認められた事項を、「青」で記す部分は、田力つながり仲間で解釈している事項を記載しております。


| 水田雑草 | 22:18 | comments(2) | - | pookmark |
コナギ(子水葱、こなぎ)
 ミズアオイ科ミズアオイ属、東南アジア原産の水田雑草で、主に本州から九州に発生し、北海道では少ない。稲作に付随して日本に伝来したとされ、現在の有機水田では、最も一般的な水田雑草である。
 コナギと良く似た水田雑草にミズアオイがある。かつて食用に供されたと言われるこのミズアオイの古名を「葱(なぎ)」と呼び、ミズアオイを小ぶりにした姿のコナギは「小葱(こなぎ)」と呼ばれるようになったようである。

【生育の特徴】
 コナギは種子で繁殖する一年生雑草である。そして、水田のように湛水下の土壌では旺盛に発芽するが、畑土壌では、めったに発芽しない。このように貧酸素状態で発芽が促進されるのがコナギの特徴である。
 コナギの最初の子葉は細長い形であり、ヘラオモダカと良く間違えられるが、その後丸みを帯びた子葉が出てくる。宮城県地方では、7月中旬頃から、青紫の可憐な花をつける。


【最初の子葉が成長したコナギ、その形からヘラオモダカと良く見間違えられる】


【青紫の花を咲かせたコナギ】

【農薬を使わない稲作との関係】
 コナギの種子生産量は一株当たり1000〜3000粒に及ぶと言われ、除草剤を使わな稲作では、おびたたしい数のコナギが水田を覆うことがある。コナギの葉は緑が濃く、窒素吸収量も旺盛なようである。このため、コナギ密生ヶ所の稲が生育不良となり、黄色味を帯びた姿をしばしば目にする。  
 「田力つながり田んぼ」を観察する限りでは、同じ除草剤を使わない稲作にあっても、施肥を行わない無肥料栽培の水田に比し、施肥を行う有機栽培水田のほうが、コナギが大柄であり、生育も旺盛な印象を受ける。

【農薬を使わないコナギの抑草と除草】
 コナギの発芽深度は土壌表面から1.5cmと浅く、また発芽直後の活着力が弱い。このため有機水田におけるコナギの除草(抑草)は、発芽直後の瞬間を狙って行う場合が多い。


【発芽して間もないコナギの芽、子葉、種子、根の位置関係から、土壌の浅い層から発芽したことがわかる。】

 最も単純な抑草方法は深水管理である。これは、田面水の水深を大きくすることで発芽種子に作用する浮力を増大させ、活着を阻害しようとする方法である。
 コメヌカ除草では、コメヌカの分解課程で生じる有機酸によりコナギの芽を腐食させ、それによる活着阻害の効果を期待して行う。しかしながらコメヌカ施肥は水田土壌の貧酸素(還元)化を促進させる効果があり、これがかえってコナギの発芽を旺盛にするとの指摘もある。
 冬期湛水水田では、水田表面に形成される軟弱なトロトロ層と、イトミミズの活動、深水による浮力効果により、コナギの活着を阻害させる効果を期待している。
 また田植え前に期間を置いて数回代掻を行い、その度に発芽したてのコナギを土中に埋め込むといった方法も提唱されている。
 いずれの方法も、ある程度の効果が期待できるようだが、コナギ除草の決定打にはなりえず、事後の機械除草が重要となる。
 コナギはその旺盛な種子生産能力から面的に生育空間を拡大し、稲の生長を阻害するが、同じ水田雑草のヒエとは異なり、稲に比べれば丈が低い。これがもう一つのコナギの弱点と考えられる。
 この弱点から考察すると、稲の移植後の分げつと成長が旺盛であれば、コナギの繁茂を上回って稲葉が田面を覆っていき、事後のコナギの面的拡大を抑えることができるだろう。このため、コナギに対する最も本質的な抑草は、稲の生長を確実なものにする土づくりや苗づくりにあるのかもしれない。



【面的に密殖するのが、コナギの特徴である。】


【地方名】
 宮城県北地方では、コナギを「ダブ」、「ダンブ」とも呼ぶこともある。

【その他】
 農薬を使わない稲作にとって大きな課題となるコナギ対策であるが、同種のミズアオイがかつて食用に供されていたとの事例をヒントととし、コナギの食用を試行したことがある。天ぷらにしたら、さして問題なく食えた。
 コナギは繊維質が強くなく、口に入れても問題なく噛み切れる。その意味では食用に耐えられるが、若干のアク味があるので、これの処理が課題となるだろう。
【記:平成20年8月29日】

【弥生時代の遺跡から】
 弥生時代の遺跡である板付遺跡や菜畑遺跡からは、現在でも普通に見られるホタルイコナギオモダカといった水田雑草が見つかっている。(参考文献1)
【記:平成21年1月3日】

万葉集には、コナギを綴った詩がいくつか登場する。

[万葉集 巻十四 3415]
 上野伊香保の沼に植る子水葱かく恋ひむとや種求めけむ

(意味)上野の伊香保の沼に植えた子水葱のような女よ。こんなにも恋に苦しもうとて種を求めたのでないのに。

(補記) 現在では、農薬を使わない稲作にとっての大敵なるコナギであるが、この詩にあるように、万葉の頃はわざわざ沼にコナギを植えていたらしい。そして恋する人に比喩するくらい、コナギは可憐な花に思われていたようである。
 もっとも、この当時、コナギとミズアオイは区別されていなかったようで、比喩されたのはミズアオイだったかもしれない。コナギに比べ大柄なミズアオイは、茎も高く伸び、その先に花を咲かせる。鑑賞用ならコナギよりミズアオイが見栄えが良い。
 とは言え、本ブログ著者としては、小さくても可憐なコナギの花に魅力を感じる。暑い夏の日、稲葉をかき分けると、そこにコナギがある。日射しに照らされた青紫の花は宝石のように輝く。

万葉集 巻十四 3829]
 醤酢に蒜搗き合てて鯛願ふわれにな見えそ水葱の羮

(意味)醤と酢に蒜をまぜ合わせて鯛を食べたいと思うものを。私に見せるな、コナギの羮を。

(補記)ここで詠われているように、万葉の頃、コナギは食用の野菜であった。そして、あまり美味とは言えない野菜でもあったようである。ここに詠われた水葱がコナギであるか、それともミズアオイなのかはっきりしない。
 正直に言うと、本ブログ著者はミズアオイもコナギも食した。その感想で言えば、鑑賞用ならミズアオイに及ばずとも、食用ならばコナギのほうが食感が良い。

【コナギの料理方】
 「野菜の日本史」(参照:参考文献2)によると、平安時代の「延喜式」に水田で食用コナギを栽培した記録が残る。またコナギを漬け物にする方法も記されており、下記の如くである。

◆ コナギの塩漬け 「水葱十石料塩七升」
 コナギと塩を1000:7の体積比で混ぜる

◆ コナギの糟漬け 「水葱一石料塩一斗二升汁糟五斗
  コナギと塩、糟を100:12:50の体積比で混ぜる

江戸時代の「菜譜」には乾燥コナギの料理方が紹介されている。

◆ 乾燥コナギ
 6〜7月に取って、熱湯につけ乾燥させる。乾燥コナギを食べる際には熱湯につけて、醤油につけて食べる。


 江戸時代は育苗の関係から、現在より一ヶ月ほど田植えが遅く、6月頃となる。田植え直前に田は代掻きされ雑草は駆除されるが、田植え直後からコナギの種子が覚醒し、盛んに発芽する。このため、6〜7月に取るコナギは、まだ芽生えして間もないものであっただろう。

 現在の農薬を使わない稲作で最も問題となる雑草がコナギである。しかし江戸時代の農書には不思議とコナギの記述に出会わない。この頃の農書に良く登場するヒエクログワイオモダカやヒルムシロであるが、これら雑草と異なり、コナギは農民にとって別の視点で捉えられていたのかもしれない。
【記:平成21年1月9日】

▼関連リンク
 ・冬期湛水
 ・トロトロ層
 ・コメヌカ/クズダイズ

▼ 参考文献 1
 
「弥生時代の知識 」 甲元 真之、山崎 純男  著 
 (昭和59年4月1日 東京美術 発刊) 

▼ 参考文献 2
   「野菜の日本史」  青葉高 著
 (平成12年7月30日 八坂書房 発刊)


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| 水田雑草 | 18:29 | comments(0) | - | pookmark |